データビジュアライゼーション
打球データから気づきを得る
ホームランが生まれるのはどんな瞬間か? 1,502打球の計測データを「軌道」「方向」「条件」の3つの切り口で段階的に分析していきます。3Dで軌道を再現し、スタジアムを俯瞰し、スクロールでデータを読み解きます。「見る」だけでなく「体感する」コンテンツです。こうしたスポーツデータの分析・可視化は、スポーツ情報学部での学びの一つでもあります。
計測データ
Rapsodo(ラプソード)で計測された打撃練習のデータには、打球速度・角度・方向・飛距離といった1球ごとの詳細な数値が記録されています。この中には、現在日本プロ野球で活躍する以下の選手の中央大学硬式野球部在籍時の打撃データも含まれています。 ・森下 翔太 選手(阪神タイガース) ・繁永 晟 選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)
データソース:Rapsodo打球計測データ
有効データ:1,502件(右打者7名分のデータを使用)
※ 空振りや計測不能を除外。軌道シミュレーションの着弾位置は物理シミュレーションによる近似値のため実測飛距離と乖離が生じる場合があります。
打球軌道を見る
まずは「1球ごとの打球」に注目します。ボールがどのコースに投げられたかによって、打球の軌道はどう変わるのか?コースごとの平均値(飛距離、ホームラン率、打球速度)を切り替えながら、コースをクリックして打球傾向を3Dで体感してみましょう。
低めよりも高めの方が飛距離が長くホームランにつながりやすいなど、打球の軌道の特徴が視覚的に浮かび上がってきます。では次に、視点を上空に移してフィールド全体を俯瞰してみましょう。1,502球の打球は、どの方向に集まっているでしょうか。
打球方向を読む
次は視点をフィールド全体に広げます。1,502球の打球はどの方向に飛んでいるでしょうか。レフト方向・センター方向・ライト方向、それぞれの方向と飛距離の関係をスクロールしながら探っていきましょう。
3D空間で打球方向と飛距離の関係を探ってみます。Rapsodoのデータは、ホームベースを中心とする極座標で記録されており、距離と角度によって打球の落下地点を示しています。
1,502球の落下地点をすべて表示してみました。このアニメーションでは、打球は放物線を描いてグラウンドに着地した後、再び浮上しています。これは打球速度を高さで表現しています。
レフト方向の打球をハイライトします。打球速度は速い傾向にありますが、打球角度は低めで飛距離の短い打球も多いです。右打者にとってパワーを乗せやすい方向であることが予想されます。
センター方向の打球をハイライトします。打球速度ではレフト方向と比べてやや劣りますが、角度がついていて飛距離が長い傾向にあります。打球数も最も多く、基本的な打撃方向であることが予想されます。
ライト方向の打球をハイライトします。他の方向と比べて角度こそ高いですが、打球速度が遅く、飛距離も伸びていません。打球数も少なく、右打者にとって打つのが難しい方向であることが予想されます。
ホームラン級(100m以上)の打球のみ表示します。センター方向からレフト方向にかけてが多い傾向にあることがわかります。
このデータから、方向ごとの打球傾向を俯瞰できます。方向によって飛距離や分布の特徴が異なることが見えてきます。
方向と飛距離の傾向がつかめました。最後に、もう一段深く踏み込みます。ホームランが生まれやすいのは、打球速度・角度・飛距離がどのような組み合わせのときでしょうか。その条件を、データから読み解きます。
ホームランの条件を探る
打球方向の傾向が見えたところで、最後の問いへすすみます。打球速度と打球角度、そして飛距離。この3つのパラメータが交差するとき、ホームランの条件が浮かび上がります。スクロールに連動したストーリーで、データが語る答えを追いかけていきましょう。
打球速度と角度の関係をスクロールで探ります。1,502球のデータをプロット。色は飛距離を表現しています。
打球角度がマイナス、つまりゴロのデータです。打球速度が高くても、地面に向かうため飛距離は伸びません。
角度50°以上、つまりポップフライのデータです。打球は高く上がりすぎて、飛距離が短くなります。
角度10〜35°の打球です。この角度の範囲は、飛距離が伸び始める角度のゾーンになります。
打球速度が高いほど、飛距離が伸びやすい傾向が見えてきます。
白い点がホームラン級(100m以上)の打球です。高い速度と適度な角度の領域に多く分布しています。
このデータから、打球の傾向や、飛距離が伸びやすい角度・速度の組み合わせを俯瞰することができます。
まとめ
1,502球のデータを3つの視点から見つめてきました。コースによって変わる打球の軌道、フィールド上の方向分布、そしてホームランが生まれやすい速度と角度の条件。数字だけでは見えなかったパターンが、ビジュアルによって立体的に捉えられるようになりました。
- 軌道
- 打つコースによって打球の軌道は大きく異なります。低めと高めでは飛距離やホームラン率に明確な差があります。
- 方向
- 方向によって打球の傾向は異なります。ライト方向の打球はやや少なく、飛距離の大きい打球はセンターからレフト方向に多く見られます。
- 条件
- ホームランは偶然ではありません。打球速度と打球角度がある一定の条件を満たせば、飛距離は大幅に伸びます。データはその「条件」を明確に示しているといえるでしょう。
このページで体験したように、データはその見方によってさまざまな発見につながります。
スポーツ情報学部では、こうしたデータ収集・分析手法の知識や技術を体系的に学ぶだけでなく、デジタル技術や分析データを活用したスポーツ分野でのビジネスも実践的に学びます。
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